ある小説を読んで以来、食べてみたいと思っていたのが「こぼれ梅」。実はコレ、味醂の搾り粕です。ちょいとつまんで口に入れれば、ほのかな甘みとお酒の香りがふわり。食べる甘酒、といった具合。実際、お湯で溶いて沸かして、砂糖で味付けをすれば甘酒としてもいただけます。
「みをつくし料理帖ー花散らしの雨」。江戸は元飯田町の料理屋「つる家」で、故郷大阪の上方料理を出す女料理人、澪(みお)を主人公とした連作時代小説。上方料理と江戸料理の違いに戸惑いつつも、和洋折衷ならぬ、東西をほどよく折衷した味を苦心する澪の姿が見どころです。時代小説とはいえ、ベースとなるのは西と東の料理のおはなし。食いしん坊にはたまらないウマそうな料理や食の逸話が目白押しです。。そうした食べ物ネタのひとつが、幼い頃の澪が天神橋を渡りながらつまんだという、懐かしいおやつ「こぼれ梅」というワケ。
この「こぼれ梅」どこで見つけたのかといえば、天神さんこと北野天満宮境内の露店でした。天神さんといえば、御祭神・菅原道真公が梅の花を愛されたことにちなみ梅の木がつきもの。写真の通り、紋も「梅鉢紋」ですものね。天神さんといえば梅、梅といえば「こぼれ梅」ということで、食べる梅もつきもののようです。
天神さんの東側には、上七軒の風情ある町並み。その一角にある「喫茶 梅」では、ナカガワ暢(のん)さんの個展「ウメトロクニンノオンナ」をやっておりました。梅とオンナをテーマとした6枚の連作。なかなか素敵なイラスト作品でした。ちょっと、杉浦日向子さんに通じるものがあるなあ。。と思ったりして。